相続コラム
寄与分
寄与分
2018.08.14
相続財産の維持や増加に貢献した共同相続人に対し、その貢献を評価して、貢献に相当する額の財産を得ることを認めて、共同相続人間の公平を図る制度を寄与分と言い、民法904条の2によって定められています。
例えば、被相続人の事業を手伝っていた場合や、被相続人の介護を長年担ってきたような場合に、寄与分が認められることがあります。
寄与分は、相続財産の維持や増加に特別な寄与行為をしたことが必要です。
例えば、子どもが健康な両親と同居して面倒を見てきても、直系血族としての扶養義務の範囲であれば、特別な寄与行為とは言えません。
しかし、当初、両親と別居していたところ、父が寝たきりになってしまったので自分の家に両親を引き取って看護したような場合には、一般的な扶養義務を超えた特別な寄与行為があったものとして、寄与分が認められるべきでしょう。
実際に寄与分が認められた審判例として、次のような事例があります。
5人兄弟の末っ子が結婚以来20年にわたり両親と同居し、共同生活費や家屋の営繕費用などの支払いを負担して共同生活していたところ、母が入院する10年前から痴呆が目立つようになり、奇行を繰り返し、ついには食事や用便も介護を必要とし、夜間には家族で母の不寝番をするなどたえず療養監護し、母の入院中には5か月にわたり毎日タクシーで病院に通い、母に付き添い、身の回りの世話をしたという場合、少なくとも母の痴呆が目立つようになってからの10年間の療養監護は、親族間の扶養義務に基づく一般的な寄与の程度をはるかに超えていると認め、母の療養監護による相続財産の維持に特別の寄与を認めました。
寄与分は、共同相続人全員の協議によって決めます。
協議ができないときや、協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の調停や審判によって定めることになります。
寄与分の計算方法については、被相続人が相続開始のときにおいて有した財産の価額から寄与分を控除したものを相続財産とみなし、寄与者の法定相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする、と定められています。
以下、具定例で説明します。
【例】被相続人の財産:5000万円
相続人:妻、長男、二男
《法定相続分だと・・・》
妻:2500万円、長男:1250万円、二男:1250万円
《二男が被相続人の事業に貢献し、その寄与分を600万円と定めた場合》
被相続人の財産:5000万円―寄与分600万円=4400万円
妻:2200万円、長男:1100万円、二男:1700万円(1100万円+寄与分600万円)
法律相談を受けていると、親と同居していたから当然に寄与分が認められるべきだ、と考えている方をよくお見受けします。
しかし、上記のように、寄与分として法的に認められるのは限定的なケースです。
実際に認められるかどうかは個々の事案の内容によって判断することになりますので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
寄与分
2020.07.21
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