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相続コラム

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財産を相続させたくない相続人がいるとき

2019.02.19

推定相続人廃除の申立てについて

 

1 相続人に相続をさせないためには

例えば、子どもの一人が、若いころから放蕩三昧で親のお金を散々使ってしまい、さらには親に対して暴力を振るったり暴れたりということがあるような場合、その子どもには自分の財産を相続させたくないと考える親の希望は、法的に叶えることができるのでしょうか。

そのような場合、法律上の手段として、推定相続人の廃除という制度があります。

以下では、この推定相続人廃除の制度について説明します。

 

2 推定相続人の廃除とは

推定相続人が被相続人を虐待したり、これに重大な侮辱を加えたとき、または相続人にその他著しい非行があったとき、被相続人は、家庭裁判所に推定相続人廃除の申立てをし、審判によって、相続人の相続権を剥奪することができます(民法892条)。

これを、推定相続人の廃除と言います。

 

3 推定相続人の廃除事由

推定相続人を廃除するためには、次の事由が存在することが必要です。

① 被相続人に対して虐待をしたとき、もしくは重大な侮辱を加えたとき。

虐待とは、被相続人の身体または精神に不当な苦痛を与えること、重大な侮辱とは、被相続人の人格的価値ないし名誉感情を著しく害することであり、その結果、被相続人がその者との間に、相続的協同関係を継続することが一般に期待できないと認められる場合をいいます。

② 推定相続人にその他の著しい非行があったとき

この事由のあたるとして廃除を認めた裁判例として、以下のものがあります。

相手方(長男)は、窃盗等により何度も服役し、このほかにも交通事故を繰り返したり、消費者金融から借金を重ねたりしたが、それでいながら、賠償金や返済をほとんど行わなかったため、申立人(父)は、窃盗や事故の被害者らに謝罪し、被害弁償や借金の返済等に努め、これにより、多大の精神的苦痛を被るとともに、多額の経済的負担を強いられてきたことは明らかであり、相手方に著しい非行が認められるとして、廃除の申立てを認容した事例(京都家審平成20年2月28日)。

 

4 廃除の審判の効果

廃除の審判が確定すると、被廃除者である相続人は、直ちに相続権を失います。

ただし、廃除の効力は当該相続人の相続についてのみ及びますので、その者の子は代襲相続人として相続をすることになりますので、この点注意が必要です。

 

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