相続コラム
遺言書
遺言書
2018.08.07
相続に関してトラブルになってしまっている事案の法律相談を受けるなかで、「遺言書があればよかったんですが…。」と言うお話になることが多々あります。
例えば、亡くなった父親が、生前常々、「自分に万一があったときには、遺産は全て長男に渡したい。」と言っており、家族皆納得していると思っていたのに、いざ父親が亡くなった後に二男が納得せず、父親が遺言書を書いていなかったために、法定相続分に従って二男にも遺産を渡さなければならなくなった、というようなケースです。
皆さん口を揃えて、「わざわざ遺言書を書いてもらわなくても、まさか我が家でこんなトラブルになると思っていなかったから…。」と仰います。
きっと、亡くなった方もそう思っていたのでしょう。後悔先に立たず、とはまさにこのことです。
このような不幸な争いを未然に防ぐことができる最も有効な方法が、遺言書なのです。
遺言書がない場合、民法は、相続人の取得する相続分を割合で定めています。
遺言書がなかった場合、原則としてこの割合(法定相続分と言います。)で遺産を分けることになります。
法定相続分の割合は、次の通りです。
法定相続分は上記の通りですが、実際には家族の色々な事情により、これとは異なる割合で自分の遺産を受け継がせたい、と考える場合もあります。
例えば、以下のような場合にはぜひ遺言書を書いておきましょう。
◆法定相続人になる家族の内の一人だけに全ての遺産を渡したい。
◆法定相続人以外のお世話になった人に財産を譲りたい。
◆法定相続人になる家族皆で分けてもらいたいが、法定相続分とは異なる割合で分けてもらいたい。
(例えば、自宅不動産は妻、預貯金は長男、株式は長女に渡したい、など)。
ただし、一定の相続人には、必ず取得できる相続分(これを「遺留分」と言います。)があり、これについて配慮した遺言書を作ることが必要です。
以上の通り、遺言書は、紛争の種を残さないという点で、残される家族のためであると同時に、自分の遺志を明確にして紛争が生じないように対策を取っておくということで遺言者本人の安心につながります。
遺言書と言うと何かマイナスのイメージがあるようにも感じますが、ぜひ、前向きな意味で、活用していただきたいと思います。
遺言書の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言)や、遺言の書き方については、また項を改めてご紹介します。
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