相続コラム
遺言書
遺言書
2018.08.08
法的に効力を認められる遺言書には、以下の通りいくつかの種類があります。
① 自筆証書遺言
一人で作成することが出来る最も簡易な遺言書です。
② 公正証書遺言
公証人に作成してもらう遺言書です。遺言の存在や内容を明確にさせておくことが出来ます。
③ 秘密証書遺言
遺言者が作成して署名・押印した証書を封印し、公証人と証人2人以上の前で申述し、公証人が日付と申述を記載し、遺言者・公証人・証人が署名押印して完成する遺言書です。
④ 死亡危急者、伝染病隔離者など特殊な状況にある場合の遺言書。
このうち、一般的なものは①及び②ですので、以下はこの2つの作成方法について説明します。
【内容を全て自筆すること】
遺言書の内容を全て自分で書くことが必要です。ワープロを用いることは自筆ではないので無効になります。
【作成の日付を自書すること】
この日付とは年月日を指します。従って、「平成29年1月吉日」などと記載した遺言書は無効になります。
【氏名を自筆し押印する】
氏名は戸籍上の氏名を記載しましょう。押印は、認印や拇印でもよいとされていますが、実印を押すほうがトラブル防止になります。
【加除訂正をする場合にもルールがあります】
加除訂正をする場合には、必ず変更した場所に印を押し、欄外または末尾に場所を指示して変更したことを付記し、署名しなければなりません。
【公証役場での作成の流れ】
【必要書類等】
◆遺言者本人の印鑑登録証明書
◆遺言者と相続人との続柄が分かる全部事項証明書(戸籍謄本)
◆財産を相続人以外の人に遺贈する場合には,その人の住民票
◆財産の中に不動産がある場合には,その登記事項証明書(登記簿謄本)と,固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
◆遺言者の方で証人を用意される場合には、証人予定者の氏名、住所、生年月日及び職業をメモ
上記のように、自筆証書遺言は自分一人で作成できるのでとても簡単なのに対し、公正証書遺言の作成は、手続きや必要書類などの点で少し煩雑です。
ただ、自筆証書遺言は、書き方が一つでも法律のルールに従っていないと全体が無効になってしまうリスクがあり、また、遺言書を見つけた者が破棄したり改ざんしてしまうリスクがあるなどの難点があります。その点、公正証書遺言では、効力について争いになる余地はほとんどありませんし、遺言の滅失や隠匿、偽造などのリスクはありません。
実際、弁護士として相続事件を扱うなかで、自筆証書遺言があったけれどもその内容や効力を巡って争いになるケースを多く経験します。従って、そのようなトラブルを出来る限り防ぐためには、公正証書遺言を作成したほうが安心でしょう。
公正証書遺言の作成にあたって、弁護士などの専門家に依頼をすれば、遺言の内容について事前に弁護士と相談をして決めたうえで、必要書類の取り集めや証人の手配、公証人との事前の打ち合わせなども全て弁護士が行うことが出来ますので、簡便です。
せっかく遺言書を作成するのであれば、事後にトラブルにならない、意味のあるものを残してください。
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