相続コラム
後見・補佐・補助
後見・補佐・補助
2019.10.08
遺産分割協議を行うには、相続人全員の合意が必要であり、その前提として、遺産分割をするための判断能力が必要です。
例えば、相続人の一人が認知症が進んだ状態であるなど、判断能力に問題がある場合、その方に遺産分割協議書に印鑑を押してもらったとしても、法的な効力は認められません。
判断能力に問題がある相続人がいる場合、その判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助開始の審判申立てを家庭裁判所に行います。
判断能力を欠く常況にある方の場合は後見開始、判断能力が著しく不十分である方の場合は保佐開始、判断能力が不十分である方の場合は補助開始の審判を求めます。
なお、後見人が選任された場合は、後見人が遺産分割協議を行うことができますが、保佐人・補助人は原則として同意権しかありませんので(民法13条、17条)、家庭裁判所から代理権を与えられない限り、遺産分割を本人に代わって行うことはできません。
後見・保佐・補助開始の審判を申し立てても、審判が確定するまでには一定の時間を要します。
そのため、審判の確定を待っていると取り返しのつかない損害が生じるような事情がある場合には、家庭裁判所に、審判前の保全処分として、財産管理者の選任を求めることができます。
ただ、これはあくまで暫定的な手続きですので、後見・保佐・補助開始の審判を得るための準備は早急に進める必要があります。