相続コラム
その他
その他
2023.03.28
配偶者居住権とは、夫婦のどちらか一方が亡くなったときに、残された配偶者が、亡くなった配偶者と一緒に住んでいた家に居住を続けることを認めた権利です。
夫婦が一緒に住んでいた自宅不動産があっても、それが夫婦共有名義になっておらず亡くなった配偶者の名義であった場合が少なくありません。
そのような場合、自宅不動産は相続財産として遺産分割の対象となりますが、その場合でも残された配偶者の居住権を確保するために改正民法によって認められた権利です。
この改正法は、令和2年4月1日ですので、この日以降に亡くなった方の相続に適用されます。
配偶者居住権は、次の要件を満たす場合に成立します。
①配偶者が、相続開始時(被相続人が亡くなったとき)に、被相続人が所有する建物に居住していたこと
②その建物が、被相続人の単独所有か、被相続人と配偶者の共有であること
(他の第三者と共有していないこと)
③その建物について、配偶者に配偶者居住権を取得させるという内容の遺産分割、遺言又は死因贈与契約がなされたこと又は審判があること
いったん成立した配偶者居住権は、原則として終身の間とされています。
ただし、遺産分割協議もしくは遺言に別の定めがあるとき、または家庭裁判所が遺産の部活の審判において別段の定めをしたときは、それより短い期間となります。
①使用収益件
配偶者居住権を取得した配偶者は、居住していた建物の全部について使用及び収益する権利が認められます。
②譲渡は禁止
配偶者居住権は、他者へ譲渡することはできません。
③増改築や第三者に使用収益させる場合は所有者の承諾が必要
建物を増改築したり、第三者に建物の使用収益をさせる場合には、建物の所有者の承諾を得なければなりません。
上に記載したとおり、配偶者居住権は譲渡することはできませんので、配偶者が老人ホームや介護施設に入所するなど、居住建物に居住しなくなった場合に換価する手段がないように思えます。この場合は、配偶者居住権を放棄する代わりに建物所有者から対価を取得する交渉をする方法が考えられます。
または、建物所有者の承諾を得たうえで、第三者に使用させ、配偶者が収益を得る方法もあります。
配偶者居住権は、主に以下の場合に消滅します。
①配偶者の死亡
②期間の満了
配偶者居住権について期間の定めがない場合は終身ですが、期間の定めがある場合にはその期間が満了することによって消滅します。
③義務違反
配偶者が、用法順守義務に違反したり、所有者の承諾なく第三者に使用収益をさせたような場合には、建物所有者は配偶者居住権の消滅請求をすることができます。
その他
2018.09.04
相続 遺産調査の方法~23条照会(弁護士会照会)について 1 遺産が不明の場合 相続のご相談で多くあるのが、遺産の内容を把握できないという問題です。 例えば、被相続人が生前同居していた家族の一人が事実上の財・・・
その他
2020.08.25
相続において香典や葬儀費用をどのように扱うべきか 1 香典、葬儀費用の法的性質 香典について、法律の規定はありませんが、慣習上喪主へ贈られる贈与と解されています。 葬儀費用についても法律上の規定はなく、必ず・・・
その他
2018.08.30
農地の相続 1 農地の相続の方法 遺産に農地が含まれている場合には、農地法の規制に注意する必要があります。 農地法は、農地が農家でない者の手に渡って荒廃するなどの不都合を防止するため、 農地の売買や賃貸借を・・・
その他
2020.06.12
空き家相続サービスの協力弁護士になりました 1 増加する空き家問題 社会の高齢化に伴い、空き家問題が社会問題となっています。 空き家が放置されてしまう理由は様々ですが、所有者が高齢で判断能力が衰えてしまい、・・・
その他
2018.08.23
遺言執行者の選任と役割 1 遺言執行者とは 亡くなった人の遺言が残されていた場合、その遺言の内容を実現するためには、様々な手続きが必要です。 預貯金の解約・分配手続きや、不動産の登記手続き、遺贈や寄附行為な・・・
その他
2020.09.15
相続財産管理人の意味や役割について、弁護士が解説します 1 相続財産管理人とは 相続財産管理人とは、法定相続人が不存在等の場合に、申立てにより家庭裁判所から選任され、被相続人の相続財産を調査、管理、換価等す・・・
その他
2018.08.21
内縁と相続 1 内縁の配偶者に相続権はあるか 法律上、相続権を有する配偶者は、有効な婚姻の届出がなされている夫または妻に限られます。 従って、内縁(いわゆる事実婚)の夫または妻には法定相続分はありません。 ・・・
その他
2018.08.20
相続に際しての香典や葬儀費用の取り扱いについて 1 香典は誰のものか 香典は、葬儀の際に、死者への弔意などのために贈られるもので、法的には、葬儀主宰者(喪主)や遺族への贈与とされています。 従って、被相続人・・・
その他
2020.03.05
法定相続人に相続させたくない場合、どのような方法があるか 1 遺産を渡したくない場合 例えば、自分に子どもがいるけれども、子どもが昔から素行不良で迷惑をかけられており、長年不仲であるなどの理由で、遺産を相続・・・