• 0356566380
  • お問い合わせ

受付 平日9:30~17:30

相続コラム

その他

その他

配偶者居住権について

2023.03.28

配偶者居住権について、弁護士が解説します

1 配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、夫婦のどちらか一方が亡くなったときに、残された配偶者が、亡くなった配偶者と一緒に住んでいた家に居住を続けることを認めた権利です。

夫婦が一緒に住んでいた自宅不動産があっても、それが夫婦共有名義になっておらず亡くなった配偶者の名義であった場合が少なくありません。

そのような場合、自宅不動産は相続財産として遺産分割の対象となりますが、その場合でも残された配偶者の居住権を確保するために改正民法によって認められた権利です。

この改正法は、令和2年4月1日ですので、この日以降に亡くなった方の相続に適用されます。

 

2 配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権は、次の要件を満たす場合に成立します。

①配偶者が、相続開始時(被相続人が亡くなったとき)に、被相続人が所有する建物に居住していたこと

 

②その建物が、被相続人の単独所有か、被相続人と配偶者の共有であること

(他の第三者と共有していないこと)

 

③その建物について、配偶者に配偶者居住権を取得させるという内容の遺産分割、遺言又は死因贈与契約がなされたこと又は審判があること

 

3 配偶者居住権はいつまで認められるか

いったん成立した配偶者居住権は、原則として終身の間とされています。

ただし、遺産分割協議もしくは遺言に別の定めがあるとき、または家庭裁判所が遺産の部活の審判において別段の定めをしたときは、それより短い期間となります。

 

4 配偶者居住権の主な内容

①使用収益件

配偶者居住権を取得した配偶者は、居住していた建物の全部について使用及び収益する権利が認められます。

 

②譲渡は禁止

配偶者居住権は、他者へ譲渡することはできません。

 

③増改築や第三者に使用収益させる場合は所有者の承諾が必要

建物を増改築したり、第三者に建物の使用収益をさせる場合には、建物の所有者の承諾を得なければなりません。

 

5 配偶者が老人ホームへ入所するときなどの対処法

上に記載したとおり、配偶者居住権は譲渡することはできませんので、配偶者が老人ホームや介護施設に入所するなど、居住建物に居住しなくなった場合に換価する手段がないように思えます。この場合は、配偶者居住権を放棄する代わりに建物所有者から対価を取得する交渉をする方法が考えられます。

または、建物所有者の承諾を得たうえで、第三者に使用させ、配偶者が収益を得る方法もあります。

 

6 配偶者居住権の消滅事由

配偶者居住権は、主に以下の場合に消滅します。

①配偶者の死亡

 

②期間の満了

配偶者居住権について期間の定めがない場合は終身ですが、期間の定めがある場合にはその期間が満了することによって消滅します。

 

③義務違反

配偶者が、用法順守義務に違反したり、所有者の承諾なく第三者に使用収益をさせたような場合には、建物所有者は配偶者居住権の消滅請求をすることができます。

 

その他の関連コラム

その他

農地の相続

2019.12.24

遺産のなかに農地がある場合の相続手続き   1 農地の相続手続き 農地の所有権を移転する場合には、原則として農地法所定の許可が必要です。 また、所有権移転登記を申請する際には許可書を提供しなければなりません。 ・・・

詳しく見る

その他

相続手続に必要な戸籍の集め方

2020.08.11

戸籍の申請方法、収集方法について   1 相続手続には戸籍が必ず必要 相続が発生し、預金の払戻しや不動産の名義変更の登記手続きを行う際には、必ず戸籍が必要となります。 この戸籍は、手続を取る方の戸籍だけでは足り・・・

詳しく見る

その他

相続に際しての香典や葬儀費用の取り扱いについて

2018.08.20

相続に際しての香典や葬儀費用の取り扱いについて   1 香典は誰のものか 香典は、葬儀の際に、死者への弔意などのために贈られるもので、法的には、葬儀主宰者(喪主)や遺族への贈与とされています。 従って、被相続人・・・

詳しく見る

その他

相続人の廃除

2018.08.16

相続人の廃除   1 遺留分の壁 法定相続人のなかで相続させたくない人がいる場合、例えば、非行を繰り返す二男には相続させたくないという相談がよくあります。 その場合、方法の一つとしては、相続させたくない子以外の・・・

詳しく見る

その他

内縁と相続

2018.08.21

内縁と相続   1 内縁の配偶者に相続権はあるか 法律上、相続権を有する配偶者は、有効な婚姻の届出がなされている夫または妻に限られます。 従って、内縁(いわゆる事実婚)の夫または妻には法定相続分はありません。 ・・・

詳しく見る

その他

農地の相続

2018.08.30

農地の相続   1 農地の相続の方法 遺産に農地が含まれている場合には、農地法の規制に注意する必要があります。 農地法は、農地が農家でない者の手に渡って荒廃するなどの不都合を防止するため、 農地の売買や賃貸借を・・・

詳しく見る

その他

預金・貯金口座の相続手続き

2019.11.05

被相続人の預貯金口座の払戻し手続き、名義変更手続きについて   1 はじめに 銀行実務においては、通常、相続人が単独で被相続人名義の預貯金を引き出すことを認めていません。 金融機関は、預金者の死亡が分かった時点・・・

詳しく見る

その他

相続人に未成年者がいる場合

2020.03.18

特別代理人の選任手続について   1 特別代理人が必要な場合 例えば、父親が死亡して、法定相続人として妻と未成年の子どもがいる場合、遺産分割協議はどのように行えばよいでしょうか。 この場合、妻は子どもの単独親権・・・

詳しく見る

その他

遺言執行者の選任と役割

2018.08.23

遺言執行者の選任と役割   1 遺言執行者とは 亡くなった人の遺言が残されていた場合、その遺言の内容を実現するためには、様々な手続きが必要です。 預貯金の解約・分配手続きや、不動産の登記手続き、遺贈や寄附行為な・・・

詳しく見る

その他

空き家問題

2020.06.12

空き家相続サービスの協力弁護士になりました   1 増加する空き家問題 社会の高齢化に伴い、空き家問題が社会問題となっています。 空き家が放置されてしまう理由は様々ですが、所有者が高齢で判断能力が衰えてしまい、・・・

詳しく見る

相続のことならまずはお気軽にお電話ください。