相続コラム
その他
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2018.08.21
法律上、相続権を有する配偶者は、有効な婚姻の届出がなされている夫または妻に限られます。
従って、内縁(いわゆる事実婚)の夫または妻には法定相続分はありません。
死亡した内縁の妻または夫に相続人が誰もいない場合には、「特別縁故者」として遺産を取得できる可能性があります。
これは、家庭裁判所の判断により、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護につとめた者その他被相続人と特別の縁故があった者に対し、相続財産の全部又は一部を与えようという制度で、内縁の配偶者は通常これにあたります。
ただ、この制度は、相続人が誰か一人でもいる場合には適用されません。
死亡した内縁の配偶者名義の財産について、残された内縁の配偶者が共有持分を有していると主張できる場合があります。
例えば、
① 内縁の夫婦が共同で経営する家業の収益から不動産を夫名義で購入した場合に、これを夫の特有財産とする旨の特段の合意がない以上、内縁夫婦の共有財産となるとした裁判例
② 内縁の夫婦が二人の収入を合算して生活費にあて、余剰の分を夫名義の預金としていた場合に、この預金を内縁夫婦二人の財産であるとした裁判例
があります。
このように共有持分権を主張する場合には、家庭裁判所に一般調停を申し立てて分割の話合いをするか、既に法定相続人の間で遺産分割調停が係属している場合には、内縁配偶者が利害関係人として調停に参加することもできます。
調停で話合いがつかなかった場合には、相続人に対して、共有持分権の確認訴訟を提起する必要があります。
上記の通り、内縁の配偶者が遺産を取得するためには、相続人が誰もいないか、または、共有持分権を主張できる可能性がありますが、この場合に他の法定相続人が合意してくれない場合には訴訟を起こさなければならず、遺産を取得するまでのハードルが高くなってしまいます。
そのような事態を防ぐためには、生前に遺言書を作成しておくのが最も有効です。
内縁の夫婦間の遺言書作成について、当事務所では多数の実績がありますので、早めのご相談をお勧めします。
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